
〔田舎住い17 、お父さんの楽しみ 〕
世間では寒い冬が終りかける3月は、山の季節はまだまだ寒い日が有りますが庭の植物は待ちきれない様に芽を出します。山では遅い春の草花が少し温かくなると我も我もと花が咲き出します。ホームセンターとか花屋さんに花の苗が売られますが、慌てて購入して植えると山の気候では未だ寒く霜にやられて無断な姿になります。この辺りはまだ厳しい冬の寒さが迎えます。町で花苗が売りに出されても、ずっと・・・4月も遅めか 5 月迄辛抱です。
その点前年植えて球根は人間の季節感覚でなく、自分達で判断して芽を出し咲いてくれます。前の年に庭いじりであちらこちら掘り返して出てきた球根を、何の気も無く又植え込んで置いたのが、思いもかけない所に芽を出し、花を咲かしてくれます。何時か購入し植え込んで置いたのが、忘れ去って居た球根が花を咲かしてくれるのも嬉しいものです。
人間なら忘れたり、時期を間違う事も有りますが、自然の営みは確実に季節々を教えてくれます球根類は1度限りの花でなく、毎年花を増やしてくれる事で美しい花と言うだけでなく、雪を溶かして芽を出して花を咲かして、そして確実に春を伝えてくれます。
春先 1 番にはあちこちの山の中にコブシの花が、白いローソクのように咲き出します。山のコブシは桜の様に色を付けずにまっ白ですから目立ちます。 4 月に入ると桜も世間
より半月程遅く咲き出します。桜前線もここの地域だけは取り残し、東へ北へと進みます。そうこうする内に山にツツジが咲き出し 1 番山が美しい時になります。花の咲かない木々は薄い青葉で緑の色を添えてくれます。この地域にはスズランの最南端の群生地が有ります。寒い地域のスズランがこの地で咲く事から見てやはり寒い所を表しています。
この地域が寒い事から花の咲く時期が遅い事で、他で見られる頃には、未だつぼみにも成らないまどろっこしい期間が有りますここに引き越して来て、花壇を造り喜んで町で花の苗を購入して植えても、世間より春は遅い事が温室育ちの花の苗には厳しく、 1 夜にして萎れてしまいます。私は気候の違いを最初は甘く見ていましたが、 3 月後半でも雪が降ることが有るこの地域は、周辺のお店でもう見慣れた頃に花苗は購入しても遅くは無い様です。この事を村の肥料や種を販売しているお店の奥さんに話すと「町での植え時ではこの村では早過ぎるので、始めての人は皆、霜にやられる」と話してくれました。
昔は無かった便利なホームセンターと言うお店が周りの市や町に、そして最近小さいですが近くに出来ました。これだけ広い範囲の商品が 1 つの店で購入出来るのは、昔人間から見ると夢の様です。田舎に住む事で日常色々な家事の中で生まれるチョッとした工事と言うか、修理に補修、そして生活上の不具合の改善と、日曜大工や家庭菜園が好きな人にはお小使いを使い果たしても、休日が待ち遠しい生活に陥ります。
大阪からご夫婦が毎週休日に車で来て、購入された土地に色々な木を植えておられました。もう5・6年にも成ると思いますが立派に育っています。もう 60 歳を越えたお 2 人が健康維持と自然相手の趣味でも有り継続して居られます。今度は何を植えようか、自然相手の健康作りにも成り購入した苗木も 1 年 1 年大きく育つのは楽しいものです。
でも、この様な方ばかりでは有りません。休日になると耕し、囲いを作り、物置小屋を手作りで立て、切り倒した木で階段を作り、苗木を次々に植えて居られたのにある時期から急に来られなくなった方が何人も居られます。定年から始めた楽しみを何年も継続するのは健康が第 1 です。主の無い山の土地は数年で元の雑木林に返ります。その後を次いで子供さんが同じ事をする事も無く“お父さんの夢の後”は、分け入る事も叶わぬ雑木林になって行きます。田舎を愛しても遠くから通いながらの楽しみは難しい様です。 ( 続く )