村爺のちょっといいはなし

〔 田舎住い6 、住めば老人向き 〕

ここの田舎は都会から遠い事て若い人達の就職場所への通勤が不便であり、それ故か若年層の田舎への定着が良くありません。特に子供人口も少なく、学校や幼稚園も集約されて村の中心部へバス通学です。その事からも村は徐々に高齢者の比率が高くなります。
村も一時期、山を切り開き住宅地の開発がされていましたがその後は続かず、人口増への兆しは途切れています。地価の高騰時と違い山を切り開いての開発は、もうメリットが無いのだと思います。
あそこの山もこちらの谷も入居人口何千人かの団地が出来るとかで、駅前の近くに開発業者の事務所が立ち何人もの開発会社の社員さんが働いて買収が行われていた時期が有りました。もう長い事その様な事は耳にしなく成りましたが。
今は立て看板も無く夏草が茂る広い敷地と建物だけが残り無人のままです。

高齢者と言えばこの過疎の村の周辺にも老人ホームが建設されています。田舎のこんな所と思う様な山の中に立派な施設が有ります。周りの自然を巧く取り入れられ建物の建設に少し山を切り開いた様な所です。入居される老人の方々は、今まで住んで居られたどんな所よりも辺ぴな所ですが緑溢れて自然だけは充分です。

この近辺もそうですが山岳地帯で高所でも有りその分空気や水が綺麗で緑豊かで、そして何よりも静かな環境です。建物の回りは何処までが敷地かと判らない広々とした山々に囲まれ、どちらを見ても自然一杯です。
朝早くから色々な小鳥や虫の声に年中包まれてその音に喧しく感じるほどの近くで鳴く環境は、都会では得られません。田舎では虫や小鳥の声がうるさく感じる事も有りますが、皆さんはそこに惚れ込んで入居されているのでしょう。

元気な間都会の人は田舎の環境を、田舎の人は都会の繁華街を望んで行きます。でもそれは五体満足での願望でしょう。自分が不自由になり体を介護して貰う環境は少しでも体に良い空気・水・緑・静寂とかの環境が大きな要素になります。
何んにも無い山の中で年令を重ねると、いつか暮らす事になるかもしれない高齢者の集る老人社会に、自分の楽しみは有るのだろうかと疑問も浮かんで来ます。でもその様な事を考える事はまだ入居して自身の生活に面倒掛けるとか介護と言う言葉につながる健康状態に無いからだと思います。
偶然それに近いような環境の山の中に住み付いて毎日を過ごす時、体が健康で動く間は前記の老人ホーム以上の環境で過ごせる事に感謝しています。年を重ね定年となり仕事を離れていると、都会に住む事を羨ましく思う時が有ります。行きたい所はバスや地下鉄、少し遠ければ郊外電車と 1 日ゆっくり充分な時間を使い楽しめます。
そんなに遠く無い所に充実した色々な施設も有りますし、それに催し物が絶えません。
行く先々でお金の要る所ばかりでも無いでしょう。NHKなんかの公開放送でしょうか客席のお客さんを見ると中年と言うか、オジサンオバサン以上の年齢層が多く見受けられます。電車賃だけで簡単に行ける環境に住んで居られるのかと思うと羨ましくなります。
その点田舎に住むと家から郊外電車の駅に行くにもバスが限られています。もし行きは良くても帰りはどうするかとその辺から考え込みます。家族に送り迎えを頼む事になります。大阪まで 1 時間、座れたら良いのですが通勤時間帯ではダメですから体が持ちません。
何でも無いようですが地下鉄の階段は必ずエスカレータやエレベータ有るとは限りませんし又偶に乗ると有る場所が判りません。家の階段と違い都会の階段は長いのです。 1 日中人を見ない生活から人で溢れる都会は、田舎の年寄りはこれも又疲れる素です。(続く)

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