
それは高級な絞りの着物では有りませんが、ケースに小さな凹みがいくつか付いています。愛犬が噛んでこうなった、との事で"貴方が噛んだ小指が痛い"と言う伊藤ゆかりさんの歌を思い出しました。
液晶も変形してしまい、電源は入るのですが、まともな表示はされず、ボタンの応答もありません。斜めになって押すことすら出来ないボタンもありました。 さらに電池にも歯痕があります。3.6Vの電圧なら犬にはどう言う事もありませんが、リチュウムの味(?)はどんな味なのでしょうか。きっと不思議な味でしょう。例えば、口の中にアルミホイルの欠片が入ると唾と化学反応を起こして電気が生じ、変な味を感じます。あれと同じことになるでしょう。
犬の種類は部屋で飼う小型犬ですが、どうもずいぶんと長い時間、骨状のおしゃぶり代わりに噛み噛みして遊んだようです。美味しかったのか、それともご主人様の匂いに酔いしれていたのか、バウリンガルで問い正してみたいところです。
アンテナは噛み易かったのか、平たくなっています。アンテナだけなら取替えが利きますが、「ケース取替えで元に戻るか」と言うお客様の要望に対する判断を行わなければなりません。
小型犬は、大型犬の噛み方と違いズバッと中まで歯が通りませんが、唾液が中に入りますので水濡れ状態になります。又、小型犬といえども、これだけ噛んだ痕が有ると、回路基板に変形をもたらしていますのでその面からも再起不能です。
大型犬の噛んだ後は一目でこれはダメと言う感じで、ご主人様も諦めがつきます。犬の歯は祖先が狼ですから相手を食いちぎるアゴの力と、鋭い犬歯が突き刺さります。ケースは食い千切る事は出来ませんが、本体を変形させ突き破る勢いです。しかし事件が起きるのはほとんどの場合ご主人様と同居している(?)事の多い小型犬の仕業です。
『猫に小判』は、たとえ黄金でも見向きもしないという諺ですが、『犬に携帯』という諺がいつか生まれるのではないでしょうか。意味は"もう使えない"とか"怒るに怒れん"とか"後の祭り"と言う感じです。
さて、「状況から修理は無理です」との説明に「やっぱり」と優しいご主人は同じ機種をお買い上げになりました。奥様に小言一つ言わないで。
時々町中で見かけるのが、考え事をしながらアンテナを噛んでいるお兄さん。アンテナの中は細い線ですし、線材も以前に比べると軽く薄く細くなっていますので、"クソッ"と思わず怒りでアンテナを噛んだり、アンテナに当たらないで下さい。
新しい機種が出る度に、液晶部分は大画面になって、犬のたった一噛みでも大きなダメージを受けます。他は良くても液晶の取替えは高額となりますので大変です。
夏に虫の嫌う匂いのスプレーが有るように、犬の噛まない匂いを付けて、愛犬家用に携帯が販売される時が来るかも知れません。