第十四回 時計の誤差
今年も一目で新入社員と判る爽やかな集団が町を行き交います。1人では町や電車が不案内の様子で、それが一かたまりの集団行動になる様です。紺かグレーの服装に真新しい靴はご両親の愛情が見えてきます。学生生活を含め1人の子供を社会に出す為のご両親のご苦労は大変な物ですが、この辺は自分達が所帯を持ち子供を育てる迄は判らないものです。
新社会人になる事で自分の持ち物の中で携帯電話はもう当たり前、というより学生時代からお持ちでしょう。稀に携帯電話を持たないで過ごして来た方もおられるようですが。最近は何故持たないのか不思議がられる時代です。会社への個人の届けにも、家の電話番号と共に、携帯電話番号も記入する場合が殆どですから、いずれ持たないといけない社会環境になるでしょう。(うまくいくと朝寝坊した時にそっと同僚に起こしてもらえるかも…)
最近不思議なのは、新入社員の腕には必ずピカピカの時計を、お祝いやらお小遣いで購入してはめていたように思いますが、最近では時計は持たない人もおられるようです。どうして時計持たないか、と聞きますと「携帯電話に時計が付いているから」と言うことでした。一見、時計屋さんが携帯電話の犠牲になるようなことになっているようですが、よくよく話を聞くと、Gショックやスポーツ時計というか、何百m潜っても大丈夫な時計を何個も集めている人もおられるそうで。
こんな凄い時計をどう言う時に使うのか疑問ですが、ふと昔流行った軍歌が思い出されます。こんなに水に強いと本人が溺れても『時計ばかりがコチコチと・・』と言う事になりそうです。
2人に1台は普及した日本では、皆さん携帯電話を巧く使いこなしておられると思います。ただ、年を重ねていくと分厚い取扱い説明書を読むのも面倒な為、着信専用とほぼ同じ事になります。これは私だけでは無いようで、「孫が来たらと持っていたけれど、こんなマークがずぅと出て消えないので…」とか「もっと音を大きくして」とか、「電話のような呼出音に変えて欲しい」とお店に高齢者の方が来られるのをお見かけします。
私達の年齢になると、分厚い説明書を読んで物を使うという経験が過去に無いので無理はないと思います。(どなたでも同じかと思いますが、自動車を買い替えても車を持って来たセールスのお兄さんの説明だけで、殆ど説明書読まないで使用しています。)
若い人が時計の代わりに使う携帯電話も、最近は表面と本体を開いた画面にも時間表示が大きく出る様になっており、大変使い勝手も良くなっています。新入社員の歓迎会のときに仲間への連絡はメールで周知して、飲み屋での経費の割り勘の計算も電卓機能使い、楽しい仲間との雰囲気はi-Shotで写真に残しと大活躍しています。ここ10年にもならない急激な携帯電話の普及は、社会人として携帯電話が使いこなせないと仕事も私生活も廻って行かない時代になった様です。
お客様の中には、携帯電話の時計を利用することで時間の誤差が生じることを問題にされる方もおられます。携帯電話に限らず、携帯電話の代金以上する数万円の時計もクォーツ時計であれば、大体のモノはその程度の誤差は出ますので、特に多いということも無いのですが、お客様の期待は進んでいきます。
10万年に1秒の誤差とか、誤差0の電波時計とかの時計が巷に出回っていますが、携帯電話の時計は水晶の振動を利用しているクォーツ時計でもあり、温度変化や振動で月に20秒程度は誤差が生まれます。30万円、50万円する手巻きや自動巻き時計でも分単位の誤差がありますが、歯車で構成された機械式はそれが一つの魅力にもなっています。
いつの日か、時計の誤差のないものをご希望のお客様に、電波時計付きの携帯電話が販売されていれば、それをお勧めすることで解決出来そうです。