
第十二回 電波の向き
昭和28年からテレビの放送が始まり、30年代には各家庭で購入出来る様な価格になり、家屋やアパート、ビルの屋上に誇らしげにアンテナが立ち始めました。最近は電波を使うサービスが発達し、色々なアンテナが立っていますが、それまでは家庭にアンテナ類は無く、屋根の上はスッキリしていました。
テレビのアンテナは少しでも高くと山の上や高い鉄塔に取り付けて電波を送っていますが、受ける側もその方向に障害物が無い場所を選んで、屋根の上に建ててあります。VHFのアンテナは関西なら生駒山の方向に向いているのでよく判りますが、携帯電話のアンテナは遠くに飛べば良いと言う訳でもなく、決められた数kmの範囲をカバーするよう、隣の基地局との位置で調整されていますから山の上などには基地局は余り設置されません。
ところで電波の飛んでくる時に、変化の向きというか変動の方向(偏波面)は方式ごとに決まっており、それにより受信アンテナも作られ取り付けられています。良く見るUHF・VHFのテレビアンテナやFM放送は、(水平に変化するので)水平偏波といい、アンテナの導体も波長に合わせた長さで横向きにして電波を捕らえています。携帯電話の電波は移動通信でよく使われている(垂直に変動する)垂直偏波という方式で、近くにある携帯電話の基地局のアンテナは全て垂直に立っています。
電波の受けが悪い所に移動した時には、携帯電話のアンテナを垂直にして、基地局方向に身体ではなく携帯電話が向いている時が理論上では最大のアンテナゲイン(利得)を得られると言う事になりますが、携帯電話内部にはもう1個受信専用に隠れたアンテナがあり、どちらか強く受けたほうで電波を受けています。
現在、サービスエリアを拡大し高品質のサービスを行っているFOMAは、使用している電波は垂直偏波なのですが、受信機内部で色々な方向から強さや時間差のある電波を個々に捉え、それらを携帯電話内の回路で時間のズレを正して1つの信号にする機能があります。今までは電波の中で1番強いモノだけを使い、後は使わずに棄てていましたので凄い進歩です。
アンテナを外に出せばPHSのものと同程度の長さですが、殆どの機種がアンテナ内蔵となりました。2GHzと言う800MHzの2.5倍の高い周波数でも、この様な高度な技術で強い信号に変えて安定した通信が可能になっています。